スポーツあるところにドーピングあり。
昨年から日本国内でもドーピングの話題が増え始めた。国ぐるみでドーピング問題を起こしたロシアが、平昌オリンピックでは出場停止処分を受けた。カヌー日本代表選手がライバルの飲み物に禁止薬物を混入した。
大きく話題になったこれらの事件以外にも、続々とドーピング違反者が摘発され、処分されている。3月27日には、フェンシングの木村結が1年3ヶ月の試合出場停止処分を受けた。それにともなって、全日本選手権団体戦における早稲田大学の優勝も取り消されることになった。
ドーピング問題は選手たちだけでなく、スポーツベッティングにも影響を及ぼす可能性がある。もともと欧米では「ウィリアムヒル」など多数のブックメーカーが存在し、スポーツベッティングが盛んにおこなわれてきた。インターネットの発達とともにオンラインでのベッティングが可能になり、世界中の人が様々なスポーツベッティングを楽しんでいる。
ドーピング違反によって勝敗や順位が変わることも問題だが、それ以上に、ドーピングが蔓延することによって予想が難しくなると考えられる。
例えば、世界で最も大きなドーピング問題を引き起こした、元ロードレース選手のランス・アームストロング。彼は前人未到のツール・ド・フランス7連覇という偉業を達成したが、その記録はドーピングによってもたらされたものだった。
アームストロングが永久追放されたあと(つまり組織的なドーピングが業界から消えたあと)、選手たちがレースで出す平均速度はかなり遅くなったという。
スポーツベッティングの賭け方は多数あり、優勝者の予想だけでなく、得点や個人成績、時間区切りなど様々なオッズが用意されている。現在のスポーツはWADA(世界アンチ・ドーピング機関)によって監視されており、選手単独でドーピングを行うのは難しい。ドーピング違反者が出るということは、予想を立てるのが難しくなるということと同義だ。
さらに「うっかりドーピング」をやらかす選手もいる。成分表示が不十分なサプリを飲んだり、禁止薬物を摂取した動植物を食べたりすると検査にひっかかることがある。日常生活でよくみかける漢方薬に禁止成分が含まれていた例もある。
治療目的の薬物摂取は制限付きで認められているが(だからこそ、陸上や水泳などの長時間にわたる有酸素運動を行うスポーツでは、喘息治療者が有意に多いという皮肉な調査結果も出ている)、薬物量を間違えただけで違反者に成り下がってしまう。現在、治療目的の薬物がドーピング問題に発展しているのは、皮肉にもツール・ド・フランス4連覇達成中のクリス・フルームだ。
冒頭にも書いたが、スポーツとドーピングは切り離せない問題だ。仮にすべての選手が意図的なドーピングを行わなくても、ライバル選手への薬物混入やうっかりドーピングまでは防げないだろう。
スポーツベッティングを楽しみ、勝つためには、我々もドーピングについて勉強する必要があるだろう。