政府与党は18日に行われた衆・参両院の議院運営委員会の理事会で、22日に召集される通常国会で、カジノを含むIR(統合型リゾート施設)を整備するための法案「IR実施法案」など64本の法案を国会に提出することを予定していることを確認した。今回の通常国会で「IR実施法案」が可決・成立すれば、日本は本格的にカジノ解禁へと大きく舵を切ることになる。
カジノ解禁に向けた動きは、2016年12月の臨時国会でIRを推進するために速やかな法整備などを行うことを明記した「IR推進法」(通称:カジノ法案)が可決、成立。昨年の臨時国会で「IR実施法案」の成立が見込まれていたが、冒頭で衆議院解散・総選挙となったために十分な審議時間が確保できなかったこともあって法案の提出が見送りとなっていた。
IR推進法が成立しているために、政府は「必要となる法制上の措置については、この法律の施行後一年以内を目途として講じなければならない」。1月22日から6月20日までの150日間の通常国会会期で、平成30年度予算案の審議後に、「IR実施法案」などの審議が行われる予定。また、IR実施法案とは別にギャンブル等依存症対策基本法案についてもより深い審議が行われ、諸施策の促進が促される。
現在、日本ではカジノギャンブルはご法度。通称「裏カジノ」などで密かに行われていると言われているが、摘発されたケースもある。多くの日本人カジノファンは、ラスベガスやマカオ、シンガポール、韓国といったカジノが合法化されている国に行ってカジノを楽しむか、各国政府からライセンスを受けて合法的に運営されているオンラインカジノでプレーするしか選択肢はないのが現状だ。
安部晋三首相はカジノ解禁に向けて前向きだ。2014年5月には日本が導入を検討しているシンガポール型IRの見本ともなっているマリーナ・ベイ・サンズなどを訪問し、IRが日本の将来の経済成長の柱になるとの見解を示した。
また、2016年12月の臨時国会における党首討論では、民進党の蓮舫代表(当時)とカジノ解禁に関するバトルを繰り広げ、安部首相は「ビジネスや会議だけでなく家族で楽しめるのがIRだ」「IRに対する投資があり、それが雇用につながっていくのは事実だ」などと持論を展開し、IRの重要性を強調していた。
「IR実施法案」が今回の通常国会で可決、成立すれば、早ければ2025年前後に日本で初となるカジノが操業される見込みだ。