【2019年10月】IR(カジノ)誘致の立候補都市&参入希望カジノ事業者まとめ
2019年9月4日、国土交通省は「IR基本方針案」を2ヶ月前倒しで公表しました。IR基本方針案にはIR建設地やカジノ事業者の選定審査基準が盛りこまれており、カジノ誘致を希望する都市や日本参入を希望する海外カジノ事業者の動向がにわかに活性化しています。
本記事では、IR建設地に立候補している自治体(地方公共団体)や、参入を表明しているカジノ事業者をまとめました。情報は2019年10月17日(木)のものです。
IR(カジノ)建設地に立候補中の自治体
IRとは「統合型リゾート施設(Integrated Resort)」の略称です。IR法では以下の通りに定義されています。
「特定複合観光施設」とは、カジノ施設と第一号から第五号までに掲げる施設から構成される一群の施設(これらと一体的に設置され、及び運営される第六号に掲げる施設を含む。)であって、民間事業者により一体として設置され、及び運営されるものをいう。
第一号~第五号までに掲げる施設とは、国際会議場や宿泊施設(ホテル)、商業施設などのこと。海外の有名なグランドカジノとほぼ同じです。
開業数は全国で最大3ヶ所までと定められています。IR誘致に乗り出した主な自治体は以下の通りです。
主なカジノ候補地
- ・留寿都(るすつ)/北海道
- ・苫小牧(とまこまい)/北海道
- ・台場/東京
- ・幕張/千葉
- ・横浜/神奈川
- ・名古屋/愛知
- ・常滑(とこなめ)/愛知
- ・夢洲(ゆめしま)/大阪
- ・マリーナシティ/和歌山
- ・ハウステンボス/長崎
有力な候補地は「夢洲(大阪)」「ハウステンボス(長崎)」「苫小牧」の3ヶ所といわれています。とくに大阪は最有力とされ、7つもの大手カジノ事業者が競合していた時期もあります(詳細は後述しますが、19年10月現在は3社に絞られました)。
なぜ大阪が最有力候補地とされているのでしょうか?
大阪・夢州が最有力とされる理由は?
夢洲(ゆめしま)は大阪湾北部にある人工島です。埋立工事完了後の面積は3.9㎢になる予定です。大阪府は夢洲にカジノと2025年万国博覧会をセットで誘致・開発する計画を推し進めてきました。
2018年11月23日に2025年万博の開催地が大阪に決定したことで、他の候補地より大きくリードしたと見なされるようになりました。
日本のIR(カジノ)は基本的に外国人観光客の獲得を目標としています。関西国際空港の国際線利用者数は成田に次ぐ第2位で、多くのLCCが乗り入れています。関西三空港(関空、伊丹、神戸)の運営を一本化したことで、欧米フルサービスキャリアの路線も急増中です。インバウンドにおいて大阪のポテンシャルは非常に高く、そういった点も高評価につながっています。
さらに夢洲は居住地から離れた人口島なので、近隣住民の反対が少ないというメリットもあります。万博跡地を有効活用できるのも、税金を納める住民にとっては魅力的といえるでしょう。
大阪府は万博に先駆けて2024年にはカジノを開業したいと考えていますが、候補地が確定するのは2022年ごろとみられています。建設には少なくとも2~3年かかるため、大阪府はすでにカジノ事業者を公募するなど独自に動きはじめています。
日本参入を希望するカジノ事業者
世界のカジノ記事でご紹介している通り、海外には国をまたいで複数のカジノを経営しているような大手カジノ事業者がたくさん存在します。世界一のカジノ都市であるマカオも、外資系カジノの誘致成功が現在の繁栄につながっています。
治安のよさと接客レベルが世界最高水準で観光資源も豊富な日本は新たなIR建設地として非常に魅力的です。多くのカジノ事業者が日本への参入権(IRライセンス)の獲得を狙っています。
大阪・夢洲に参入を表明しているカジノ事業者
国内で最もカジノ開業に近いのはおそらく大阪の夢洲です。上で解説した通り大阪府は、まだカジノ建設地に決定していない現時点ですでにカジノ事業者を募っています。誘致に成功したらすぐさま工事を進められるよう準備しているというわけです。
一時は7つもの大手カジノ事業者が競合していた時期もあります。しかし競争率が高いことや、反対する住民が多いとはいえ横浜も手を挙げたことが重なり、2019年10月現在は3社に絞られました。
名称 | 国籍 | 運営中のグランドカジノ例 |
---|---|---|
MGMリゾーツ・インターナショナル | アメリカ | MGMグランド、MGMグランド・マカオ |
ギャラクシー・エンターテインメント・グループ | 中国(マカオ) | ギャラクシー・マカオ |
ゲンティン・グループ | マレーシア | ゲンティンハイランド、リゾート・ワールド・セントーサ |
MGMリゾーツ社とギャラクシー社はマカオ、ゲンティン社はマレーシアとシンガポールで実績をあげています。マカオ国際空港と関空は直行便の増便が決定しているのでかなり有力といえそうです。
その他の有力なカジノ事業者
大阪から横浜に競争の場をうつしたカジノ事業者も大手揃いです。とくに有名なのは、ラスベガス・サンズとウィン・リゾーツの2社です。
「ザ・ベネチアン・マカオ」などを運営するラスベガス・サンズCEOのシェルドン・アデルソンは、いち早く日本への大型投資を表明しました。トランプ大統領最大の支援者としても知られていて、場所はともかく日本参入最有力候補とみなされています。
一方、「ウィン・マカオ」などを運営するウィン・リゾーツは、会社設立前からユニバーサルエンターテインメントの岡田和生氏とパートナーシップを結んでいました。2012年にその関係は破綻し喧嘩別れに終わってしまいましたが、日本とは縁の深い事業者といえます。丸の内に日本事務所を設立予定で、今後は横浜での開業に注力していくと発表しています。