新型コロナウイルス感染拡大で日本では緊急事態宣言が7日に発令された。東京都や大阪府など7都府県がその対象となり、一段とコロナ自粛へのムードが高まった。様々な影響が出る中で、これまでスポーツで数少ないケースで継続されてきた競馬がどうなるのかに多くの注目が集まった。
JRAは8日に新型コロナウイルス特措法に伴い、競馬開催の可否について改めて協議し、今週末の11日以降も引き続いて無観客で開催する方針を発表した。それによって12日に阪神競馬場で開催される牝馬クラシックレース開幕戦「桜花賞」も、そして19日に中山競馬場で行われる牡馬クラシック3冠レース初戦「皐月賞」もこれまで通り無観客で行われることが決まった。
多くの競馬ファンが安堵した。コロナ自粛が日に日に勢いを増す中で競馬も例外でいられるかどうかに競馬関係者の視線が注がれた。十分なコロナ対策を徹底する上での無観客開催で、消えかけている日本のスポーツの火は何とか燃え続けることができそうだ。
海外のブックメーカーも日本の競馬続行に安堵したことだろう。ブックメーカーの本場イギリスのブックメーカー「ウィリアムヒル」は、JRAの続行決断を受けて来週末19日に行われる「皐月賞2020」のオッズを発表した(オッズは9日午後5時現在)。もちろん、JRAからのオッズはまだ発表されていない。
あれ?日本の競馬(JRA)は最大18頭立てなのに19頭いるじゃん??
そう思った方もいるだろう。これは皐月賞に登録している馬全てを対象にブックメーカーがオッズを付けており、まだ出走馬も枠順も決定していないので19頭全てにオッズが付いているのだ。なので、JRAから発表されるオッズには出てこない馬もいるのが競馬好きには何とも言えない感情にそそられるのだ。
【皐月賞2020枠順】
1-1 コントレイル(牡3、福永祐一・矢作芳人)
1-2 レクセランス(牡3、北村友一・池添学)
2-3 コルテジア(牡3、松山弘平・鈴木孝志)
2-4 テンピン(牡3、中井裕二・安田隆行)
3-5 サトノフラッグ(牡3、C.ルメール・国枝栄)
3-6 ディープボンド(牡3、横山典弘・大久保龍志)
4-7 サリオス(牡3、D.レーン・堀宣行)
4-8 ウインカーネリアン(牡3、田辺裕信・鹿戸雄一)
5-9 ブラックホール(牡3、石川裕紀人・相沢郁)
5-10 アメリカンシード(牡3、丸山元気・藤岡健一)
6-11 クリスタルブラック(牡3、吉田豊・高橋文雅)
6-12 マイラプソディ(牡3、武豊・友道康夫)
7-13 ダーリントンホール(牡3、M.デムーロ・木村哲也)
7-14 キメラヴェリテ(牡3、藤岡康太・中竹和也)
7-15 ラインベック(牡3、岩田康誠・友道康夫)
8-16 ガロアクリーク(牡3、L.ヒューイットソン・上原博之)
8-17 ヴェルトライゼンデ(牡3、池添謙一・池江泰寿)
8-18 ビターエンダー(牡3、津村明秀・相沢郁)
※16日にJRA発表、更新。
「ウィリアムヒル」発表のオッズによると、1番人気にはコントレイルが2.75倍オッズで推された。昨年9月の新馬戦で勝利してから11月の東京スポーツ杯2歳S(G2、1800㍍・芝)、そして12月のホープフルS(G1、2000㍍・芝)と無傷の3連勝で堂々と1番人気を勝ち得た。
そのコントレイルを送り出す昨年度のJRA賞最多賞金獲得調教師である矢作芳人調教師は、「とにかく、こんな時だからこそ競馬開催を絶対に止めてはいけないんです」と話し、JRAのレース続行にもろ手を挙げて賛成した。さらに続けて「我々には国庫納付金を納めているという自負もある。こういう時こそ競馬の存在意義があると思っています」と競馬を行うことが暗くなりつつある世の中に光を当てることにつながることも言い添えた。
コントレイルの対抗は同じく3戦3勝で皐月賞を迎えるサリオス(オッズ=4.00倍)だ。サリオスも新馬戦、サウジアラビアRC(G3、1600㍍・芝)、そして朝日杯FS(G1、1600㍍・芝)と3連勝した優等生だ。ただ、3戦全てがマイル戦ということで、今回400㍍伸びたことで最後まで脚が持つかが勝敗の鍵を握るだろう。
そのほか、1月の京成杯(G3、2000㍍・芝)を制したクリスタルブラックや昨年11月のラジオN杯京都2歳S(G3、2000㍍・芝)の勝ち馬マイラプソディには11.00倍オッズが付いており、皐月賞優勝レースに絡んできそうだ。