「出玉規制」でピンチのパチンコ・パチスロからオンラインカジノの時代へ
日本からパチンコ・パチスロは無くなってしまうのか?
警視庁は、風俗営業法施行規則の改正案を2017年8月24日に正式発表し、パチンコの出玉規制強化に一歩を踏み出した。規制の内容を簡単に言うならば「玉をたくさんでないように制限する」ということだ。この規制は2018年2月から実施されるため、パチンコ・パチスロ愛好家たちにとっては、あと3ヶ月ちょっとしか現在の出玉の快感を味わえなくなってしまう。
具体的にどうなってしまうのか?
例えば、パチンコの場合は以下のようになる。
・4時間遊戯した場合の出玉を現在の3分の2まで引き下げる
・大当たりした場合の出玉の上限数を2,400発から1,500発まで引き下げる
大きな点はこの2つだろう。単純にパチンコの玉は1発4円であるので、お金に換算すると1度の大当たりで9,600円稼げていたものが、6,000円しか稼げなくなるのだ。1度の大当たりで3,600円の利益差が出ることになる。パチンコ玉1発あたりの価格は4円で変わらないのだから、プレイヤーの損をする可能性、リスクが単純に大きくなり、さらに利益を得ることは難しくなる。
パチスロについても同様に1回あたりの大当たりの際のメダルの上限数が480枚から300枚まで引き下げられる。パチスロのメダルは1枚20円なので、こちらも9,600円から6,000円と大幅にプレイヤーの儲けが引き下げられる。同じ1枚20円のメダルを賭けてプレーするのに、その見返りが減らされるという難儀な時代にパチンコ・パチスロは突入するのだ。
この規制の裏側にあるのは、日本へのカジノ来襲であることは間違いない。政府は昨年12月にIR推進法案(カジノ解禁法案)を国会に提出し、可決された。本格的なカジノ解禁に備えて、パチンコ・パチスロへのメスが入ったと考えるのが自然だろう。
カジノはすでに日本にやってきている。インターネットを通じて誰もがカジノゲームを楽しめる「オンラインカジノ」だ。パチンコやパチスロをプレイする場合は、必ず店舗のある場所まで移動してプレイする必要があるが、オンラインカジノの場合はPCとネット環境さえあればいつでもどこでもプレイが可能だ。
パチンコ・パチスロにとってオンラインカジノの脅威は利便性だけではない。賭けたお金がどれほど自分の手元に戻ってくるかをその割合を示す還元率だが、パチンコ・パチスロが約80%程度に対して、オンラインカジノは95%であり、ゲームによっては100%を超えるものもある。パチンコ・パチスロの出玉上限が引き下げられたらさらにこの還元率は低下するだろう。
パチンコ・パチスロは儲けることがこれまで以上に難しくなる。
プレイヤーはどうせやるなら儲けたい。これがホンネであり、儲ける可能性がより高いオンラインカジノにお客が流れる可能性は十分にあるだろう。このあたりもパチンコ・パチスロが存続のピンチを迎えているゆえんだ。
パチンコ店舗は、今回の規制を受けて今月11月末日までに高射幸性パチスロ機の撤去をしなければならない。これは、来年の11月までに合計3回に分けて段階的に行われる。この撤去費用などもパチンコ店舗が負担しなければならないため、店舗によっては大きな痛手を負うことになり、一層苦しい経営が強いられるだろう。