過去の対戦成績は錦織圭から見て2勝14敗。この数字だけ見れば、完全にノバク・ジョコビッチがこの顔合わせを制覇している感がある。しかし、錦織は「忘れていた」と天下分け目の決戦を前におどけて見せた。
全米オープン2018男子シングルス準決勝で、第21シードの錦織と第7シードのジョコビッチが通算17回目のマッチに挑む。試合は日本時間8日午前6時30分からアーサー・アッシュ・スタジアムで行われる。
イギリスの老舗ブックメーカー「ウィリアムヒル」がこの準決勝のオッズを発表し、7日午前9時現在のオッズでは錦織勝利が5.00倍に対してジョコビッチ勝利が1.17倍とオッズ上でも圧倒的にジョコビッチが有利との見立てが示されている。
また、セットカウント何対何でどちらが勝利するかを当てるセットベッティングでは、ジョコビッチが3-0で勝利が最有力の1.95倍、3-1で勝利が3.50倍と有力視されている。錦織が勝利する場合は3-2のフルセットの末の勝利に12.00倍となっており、やはり錦織が分が悪いことはこれらのオッズからも見て取れる。
過去の対戦成績でもブックメーカーのオッズでも数字上ではジョコビッチ優勢の見方は強いようだが、それでも日本のテニスファン、錦織ファンは錦織勝利を信じていることだろう。では、錦織が勝てる材料はないのか?と言えば、そうでもない。
思い起こされるのが、錦織がジョコビッチに最後に勝利したのが2014年のこの全米オープンだった。しかも、今回と同じ準決勝が舞台となった。このシーズンは本大会前にケガの影響で思うような調整が出来ずに、いわば”ぶっつけ本番”で挑んだ錦織だったが、次々と強豪をなぎ倒して準決勝ではジョコビッチを6-4、1-6、7-6、6-3で勝利して、初の決勝進出を決めた。
決勝で戦ったマリン・チリッチには3-0のストレートで敗れて惜しくも準優勝に終わったが、錦織はその雪辱を本大会準々決勝でチリッチをフルセットの末に下して、見事に果たしている。ジョコビッチと4年のときを経て再び同じ舞台で錦織が勝利を収めるストーリーは完成に近づいた。
全米オープンでの「錦織対ジョコビッチ」は今回で3度目となる。これまで1勝1敗の五分。第3戦でどちらが勝ち越すことになるのか注目だ。ジョコビッチは錦織を警戒し「(圭は)ベストなダブルバックハンドのひとり。ツアーで最も動きの速いひとりで、素晴らしいフットワークをしている。彼が本調子なら、間違いなくトップ5、トップ10の選手だ。タフな試合になると思う」。
ブックメーカー「ウィリアムヒル」が発表した全米オープン2018男子シングルス優勝オッズにおいても、錦織は4人中最下位となる13.00倍となっている。一方の、ジョコビッチは優勝最有力となる1.91倍のオッズが付いている。錦織としては逆境のオッズとなるが、そんな中で最も力を発揮するのが錦織ではないだろうか。
「ノバクと戦うのは、いつもエキサイトなことだし、自分にとっては素晴らしいチャレンジです」と語る錦織。ジョコビッチに勝利して、2度目の決勝の舞台、そしてその先にあるグランドスラム初制覇の夢は全米オープンで叶うのであろうか。