アメリカのニュージャージー州にあるブックメーカー「FanDuel」が、”オッズの表示ミス”で大きな損害をこうむった。
日本時間17日に行われたNFLの第2週「ブロンコス対レイダーズ」戦で、「FanDuel」が提供するライブベッティングでオッズ表記にミスが生じた。そのオッズ表記を見て110ドルをベットした男は、見事に82,000ドル(約900万円)を手にすることに成功した。
この試合の第4クオーター終盤までを終えて、レイダーズが19-17でブロンコスをリードしていた。しかし、ブロンコスは果敢に攻撃を仕掛けてレイダーズ18ヤードまで侵攻。残り時間10秒でさらにはフィールドゴールが狙える十分な位置であったために、「FanDuel」のライブベッティングではブロンコス逆転との見方でオッズが更新されるはずだった。
しかし、その時表示されたのは「ブロンコス勝利:+75000(751倍)」。これはしめたものと思った男性はそれに110ドルを賭けたのだ。そして、この男性の予想通り、ブロンコスのキッカーであるブランドン・マクマヌスが36ヤードのフィールドゴールを決めて、ブロンコスが20-19でレイダーズを下したのだ。
「FanDuel」の関係者によれば、「ライブベッティングオッズのシステムエラーが起こった」とのことで、当初はこの男性に本来更新されるべきだったオッズである1.17倍の配当(18.35ドル)に加えて500ドル、そしてニューヨークジャイアンツの3試合分のチケットを渡すことで和解したかと思われていた。
しかし、その後の取材で「FanDuel」はこの男性にミス表示された751倍のオッズに対する配当である82,610ドル(約908万円)を支払ったことが明らかとなった。また、同じようなオッズ表記ミスによるものも同様に払い戻しに応じたという。
Pay The People!!! They put their hard earned money on me to win that game https://t.co/I7bJMj5ypd
— Brandon McManus (@thekidmcmanus) 2018年9月20日
「FanDuel」は今回のオッズ表記ミス、そして払い戻しに応じた経緯について「スポーツベッティングというものは楽しまれるためにあるべきだ。先週に起きてしまったオッズ表記エラーについては、我々の顧客に原因があったわけではない」と説明した。
アメリカでは今年5月に最高裁の判断で、これまで禁じられていたスポーツベッティングが解禁されることが決定した。イギリスの大手ブックメーカー「ウィリアムヒル」などが積極的にアメリカのスポーツベッティング市場に参入し、オッズシステムの提供などを行っている。
市場の拡大とともに今回の「FanDuel」のように、オッズ表記のミスなどのシステムエラーが今後も出ることが予想される。全額を額面どおり払い戻す対応を行った「FanDuel」の行動はアメリカのスポーツベッティングにおける一つの基準となっていくであろう。