アメリカの最高裁が全米における「スポーツベッティング合法化」に青信号を示した。
現地14日、アメリカの最高裁はスポーツギャンブル(スポーツ賭博)を禁止している連邦法に対して無効とする判決を下した。これにより、ブックメーカーなどによるスポーツベッティングが全米で解禁されるということになる。
スポーツ大国アメリカでは、ラスベガスに象徴されるようにカジノやスポーツベッティングが国として合法化されていると思われがちだが、実は違う。1992年に連邦議会によって制定された「1992年連邦プロ・アマスポーツ保護法」(PASPA)によって国としては、NBAやMLBなどのプロスポーツやカレッジフットボールなどアマチュアスポーツに対して賭けをすることを禁止していたのだ。
ラスベガスにあるネバダ州だけは、1931年に同州では独自のギャンブルを合法化する法律が制定されていたために適用外となっていたのだ。
今回の最高裁の判決によって、長年にわたってスポーツベッティング解禁を求めてきたニュージャージー州は早くもスポーツベッティング合法化の枠組みを州内で制定し、数週間以内には同州の住人に対してスポーツ賭博を提供できる準備があると自信を見せている。
ニュージャージー州で2018年1月まで州知事を務めたクリス・クリスティ前知事は、スポーツベッティングのアメリカ全土における合法化への旗振り役を担ってきた。クリスティ前知事は自身のツイッターで「ニュージャージー州の人々はスポーツギャンブルを求め、連邦政府は彼らに対して「NO」といえる権利はなくなった。最高裁は私たちを支持したのだ。私はこれまでこの権利を獲得するために戦ってきたことを誇りに思う」と喜びの声を書き込んだ。
アメリカではこのニュージャージー州をはじめ、デラウェア州、ミシシッピ州、ニューヨーク州、ペンシルバニア州、ウェストバージニア州などがスポーツベッティング合法化の枠組みを制定する動きを見せている。
アメリカ全土でのスポーツギャンブル解禁となったことで、スポーツ組織側から「スポーツベッティング合法化」へ向けてリーダーシップを発揮しているNBAのアダム・シルバーコミッショナーはESPNの「GET UP!」に出演し、全米におけるスポーツベッティング合法化によって安全性や規制によるベネフィットがあることを強調した。
スポーツ組織側はNBAをはじめ、MLB、そしてゴルフのPGAツアーがスポーツベッティング合法化に対して支持を表明しており、海外からでは英プレミアリーグについても同様の見方を示している。
一方、NFLやNHL、そして全米大学スポーツ協会(NCAA)はスポーツベッティング合法化に対して慎重な構えを見せており、顧客・スポーツ組織(選手)・国(州)の3者が安全安心にスポーツベッティングに取り組める枠組みを作っていくことが今後求められてきそうだ。
今回のアメリカのスポーツベッティング解禁を受けて、イギリスの老舗ブックメーカー「ウィリアムヒル」はネバダ州でのみ提供していたスポーツベッティングについてアメリカ全土に拡大していくことを表明している。